| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第59回全国大会 (2012年3月,大津) 講演要旨
ESJ59/EAFES5 Abstract


一般講演(ポスター発表) P1-317J (Poster presentation)

鳥獣保護区に集中するエゾシカがもたらすササの減少

*稲富佳洋(道総研環境研),上野真由美(道総研環境研),日野貴文(酪農大),石井弘之(釧路総合振興局)

捕獲圧の上昇によって、エゾシカが鳥獣保護区等の狩猟禁止地域に逃避し、鳥獣保護区が周辺部に比べてエゾシカの集中する地域になっている可能性が指摘されているが、定量的なデータは乏しい。また、鳥獣保護区にエゾシカが集中していた場合、その植生に多大な影響を及ぼしていることが懸念される。本研究では、①鳥獣保護区が、周辺部に比べてエゾシカの集中する地域になっているのか、②採食による植生への影響は、周辺部よりも鳥獣保護区で顕著なのかを明らかにするために、北海道厚岸町の鳥獣保護区とその周辺部に8カ所ずつ10m×10mの調査プロットを設定した。そのうち数カ所の調査プロットでは自動撮影装置(Bushnell Trophy Cam)を設置し、鳥獣保護区と周辺部におけるエゾシカの撮影頻度を比較するとともに、全ての調査プロットでミヤコザサの被度と高さ、木本類の樹皮剥ぎ本数や稚樹本数などを測定し、植生を比較した。調査の結果、周辺部におけるエゾシカの平均撮影頻度は、0.11枚/日だったのに対し、鳥獣保護区における平均撮影頻度は、0.80枚/日で周辺部に比べて有意に高かった。また、周辺部におけるミヤコザサの平均最大高は72.9cmだったのに対し、鳥獣保護区における平均最大高は43.6cmで周辺部に比べて有意に低かった。


日本生態学会