| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第59回全国大会 (2012年3月,大津) 講演要旨
ESJ59/EAFES5 Abstract


一般講演(ポスター発表) P2-247J (Poster presentation)

シャープマメゾウムシの世代間にみられる卵サイズ変異と死亡率への影響

*川本さつき,石原道博(大阪府大院・理)

シャープマメゾウムシは多化性で、寄主植物クララの結実して間もない未熟な柔らかい種子から成熟乾燥した硬い種子まで一貫して利用することができる。野外で本種の卵サイズを調べたところ、柔らかい莢に産卵する越冬明け世代成虫は相対的に小さな卵を、硬い莢に産卵する第1世代成虫は相対的に大きな卵を産んでいた。卵から孵化した幼虫は、大あごで莢や種皮を食い破り、種子内部に到達する。硬い種子を利用する第2世代の孵化幼虫は、第1世代の孵化幼虫よりも種子に侵入するときの死亡率が有意に高く、硬い莢や種皮が大きな障壁となっていると考えられる。生活環の中で、越冬明け世代成虫は幼虫休眠を経験しているが、第1世代成虫は幼虫休眠を経験しない。そこで、成虫の休眠経験の有無によって卵サイズが変化するかどうかを調べるために人為的に休眠を経験させて羽化させた個体(休眠処理)と休眠を経験せずに羽化させた個体(非休眠処理)との間で完熟乾燥した種子に産んだ卵サイズを比較した。その結果、休眠を経験しなかったメスに比べて休眠を経験したメスは有意に小さい卵を産んだ。完熟乾燥した硬い種子での産卵されてから羽化するまでの生存率は、休眠を経験していないメスが産んだ相対的に大きな卵の方が有意に高かった。


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