| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第59回全国大会 (2012年3月,大津) 講演要旨
ESJ59/EAFES5 Abstract


一般講演(ポスター発表) P2-284J (Poster presentation)

インドガビアル(Gavialis gangeticus)の潜水行動に見られた日周性

*福岡拓也(東海大・海洋) , 佐藤克文(東大・海洋研) , 宮崎信之(海洋政策研究財団) , 村山司(東海大・海洋)

インドガビアル(Gavialis gangeticus)は、インド亜大陸に生息するワニ目ガビアル科に属する爬虫類である。本種はワニ目の他種とは異なり、産卵と日光浴以外で上陸することが稀な水棲傾向の強い種であるとされているため、これまで水中での継続的な行動はほとんど知られていなかった。そこで本研究では、インドガビアルの冬季における日周的な活動性と環境温度の関連を調べるため、2011年1月から2月にかけて亜成体2個体に温度深度データロガーを取り付け、4週間にわたり潜水行動を記録した。結果、水中にいる間の滞在深度には昼夜で異なる傾向が見られ、日中に深く夜間に浅くなっていた。長時間一定の深度にとどまる潜水が多い早朝は、データロガーが記録した外部温度が最も低く、体温が低下していたと考えられ、動きは不活発であった。上陸行動は日中にのみ見られ、データロガーが記録した外部温度は、水中で10.7℃~20.5℃、陸上では20.5℃~34.9℃であり、上陸時に体温も上昇したと考えられた。また、上陸行動のピークは昼から夕方で、体温が上昇していたとみられる日没前後では、一定の深度にとどまらない比較的短い潜水を頻繁に繰り返していた。これは、日没前後が1日のうちで最も活動的であったことを示している。

本研究により、インドガビアルの活動性に日周的な変化があることが示された。そして、本種の冬季の活動は外部温度に大きく影響されていることが示唆された。


日本生態学会