| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第59回全国大会 (2012年3月,大津) 講演要旨
ESJ59/EAFES5 Abstract


一般講演(ポスター発表) P3-088J (Poster presentation)

ヤマガキの結実量と鳥類の訪問頻度との関係

*船越 昇,桜谷保之(近畿大・農)

発芽した場所から移動せずに一生を過ごす植物は、次世代を残し、分布を広げるために種子を散布する。そのために種子とそれを包む果肉や果皮は、風・水・動物などの力を利用することができる様々な形態を発達させてきた。動物の中でもとりわけ果実食の鳥類は種子散布に大きく貢献しており、その種子散布量は鳥類の訪問頻度と滞在時間が関係していると考えられる。

そこで本研究では、近畿大学奈良キャンパス(奈良市中町)において最も利用鳥種が多いと報告されており、果実が大きいため採食に時間がかかるヤマガキ(Diospyros kaki var. sylvestris)を調査対象とした。ヤマガキを餌とする鳥類がある特定の結実木を選択する要因として、結実木の周辺環境・果実の質・結実量等が考えられるが、本研究では結実数に着目して調査を行った。

調査は、近畿大学奈良キャンパスで確認されているヤマガキ(75本)の内19本を対象に双眼鏡によるヤマガキの結実数の計測と2011年12月から午前中(9~12時)に30分間の定点調査で鳥類の訪問個体数、採食個体数、糞をした個体数を計測した。

2012年1月現在、5種37個体の訪問が確認され、ヒヨドリ、メジロ、シジュウカラ、ハシブトガラスは採食行動が確認された。また、シジュウカラ、ハシブトガラスにおいては糞の排泄も確認できた。


日本生態学会