| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第59回全国大会 (2012年3月,大津) 講演要旨
ESJ59/EAFES5 Abstract


一般講演(ポスター発表) P3-306J (Poster presentation)

タイ熱帯乾燥林小集水域内における土壌化学プロパティ空間分布の推定

*山下尚之(ア大気汚染セ), 佐瀬裕之(ア大気汚染セ), Jesada Luangjame(ア大気汚染セ), Bundit Hongthong(RFD), Thiti Visaratana(RFD), Bopit Kietvuttinon(RFD), Hathairatana Garivait(ERTC)

熱帯林の土壌化学プロパティには著しい空間変動が認められることが知られており、生態影響評価に際しての大きな不確実性要因となっている。一方、近年になって高解像度化が進む数値標高モデル (DEM)を利用した様々な地球統計学手法の発達は空間変動推定の精度を高めると考えられる。本研究は熱帯乾燥林小集水域内における土壌化学プロパティの空間分布を異なる地球統計学モデルを用いてマッピングして比較するとともに、各モデルの妥当性を検証した。

タイ東北部サケラート環境研究所内の熱帯乾燥常緑林に設置された35haの小集水域プロット内で表層土壌(0-5 cm)を多点採取し、pHおよび交換性塩基濃度を分析した。各プロパティの空間分布を、通常クリギング、線形回帰、線形回帰クリギング、外生ドリフト、およびガウス型確率分布シミュレーションによって推定し、RMSE(root mean square error)によるモデルの比較・検証を行った。Aster GDEMより推定格子点の傾斜を算出して各モデルの説明変数に用いた。

観測データのみを用いた通常クリギングによるRMSEに比べ、地形因子のみを用いた線形回帰によるRMSEは高い値を示し、地形因子と観測データを用いた線形回帰クリギング、外生ドリフトおよびガウス型確率分布シミュレーションによるRMSEはやや低い値を示した。推定に用いたサンプル数との関連を含め、地形因子を説明変数に加えた空間分布推定の有効性と課題を議論した。


日本生態学会