| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第59回全国大会 (2012年3月,大津) 講演要旨
ESJ59/EAFES5 Abstract


一般講演(ポスター発表) P3-318J (Poster presentation)

安定同位体を用いた相模湾食物網構造の解析

*宮地俊作(日大院・生物資源),大場昴(日大生物資源),馬谷原武之(日大院・生物資源),對馬孝治(日大生物資源),河野英一(日大生物資源)

炭素・窒素安定同位体分析は生物の栄養関係や生態系の構造解明のために用いられてきた.著者らは前大会口頭発表において,相模湾においてbulkδ15Nの幅広い変異(9.1~16.2‰)が見られたカタクチイワシ(Engraulis japonicus)の栄養段階(TL)が3であることをアミノ酸毎のδ15Nを調べる方法を用いて明らかにした(投稿論文準備中).これを基に,カタクチイワシを指標として相模湾食物網の高次捕食者のTLの決定を試みた.高次捕食者のTLは次の式による(Minagawa & Wada 1984改変).

TL = 3 + (Pd ― 11.5)/3.4

TLは捕食者の栄養段階,Pdは捕食者の筋肉組織のbulkδ15N値,11.5はアミノ酸法によりTLを決定した2007年5月のカタクチイワシ(n=18)のbulkδ15N値の平均である.

この時カタクチイワシと同時に定置網で捕獲されたsampleや他の月に捕獲された魚種について背側白色筋を脱脂後,bulk炭素・窒素安定同位体比を測定し,上の式によりTLを求めた.

その結果,TL-5:トビエイ,TL-4:アカエイ,ゴマサバ,スズキ,ハナダイ,カマス,TL-3:マアジ,イシモチ,マイワシ,タチウオ,アオリイカ,サワラ,サバ,ミズカマス,カタクチイワシであった.

高次捕食者の胃内容物の検討,さらに,カタクチイワシとマイワシのアミノ酸TLの結果も加えて検討する.

従来の一次生産者をbaselineにTLを決定する方法に加え,今回用いたアミノ酸法に基き決定されたカタクチイワシのTLを新たな指標として高次捕食者のTLを決定する方法は,今後,海洋生態系におけるtrophic relationshipsとmaterial cycleに関する研究に貢献すると考えられる.


日本生態学会