| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第59回全国大会 (2012年3月,大津) 講演要旨
ESJ59/EAFES5 Abstract


一般講演(ポスター発表) P3-325J (Poster presentation)

福島県岩瀬郡唐沢山の生物相

*西村麻利子(神田外語大),飯島明子(神田外語大),亀田勇一(東北大・院),木原正博((社)新聞協会),小林到,寺田美奈子,中山聖子(東邦大・東京湾セ),芳賀拓真(海洋研究開発機構・海洋・極限環境生物圏領域),福田宏(岡山大・農)

学校法人佐野学園の研修施設であるブリティッシュヒルズは、福島県の南部、唐沢山の南斜面に位置し、周辺の森林は豊富な動植物相を有する。また、この地域は奥羽山脈の一角に属し、南端を構成する那須連邦を西側に望み、東の麓に羽鳥湖、羽鳥湖につながる鶴沼川、河内川に囲まれた、標高1000m弱のなだらかな高原地帯でもある。

施設の周囲はブナ、ミズナラによって構成された落葉広葉樹林であるが、敷地内の一部は第二次大戦頃に陸軍の施設として利用されていた経緯から、一度皆伐が行われた後に二次遷移が進み、カラマツ林、ハンノキ類やヤナギ類を主体とした低木林、草地といった変化に富んだ植生帯が存在している。さらに、敷地内ではシカやカモシカ、ツキノワグマといった大型の草食哺乳類や、キツネやタヌキなどの中型哺乳類の種類も多く見られ、餌生物の多様さも予想される。当該地域においては、主要な建造物が構築される以前、寺田(1991、1994)により植生とその現存量、鳥類相、土壌動物相の調査が行われており、22年前との比較調査が可能な貴重な地域でもある。

本研究は、多様な植生環境が支える豊かな動植物相を把握し、22年前の調査結果と比較を行うことで、森林生態系の長期変化を明らかにすることを目的とする。加えて、学術発表のみならず、施設を利用する学生や教職員への周知を目指して、神田外語大学研究助成金の助成を受けて行われているものである。今回の発表では、2011年度に演者らが行った唐沢山の動植物相調査における植物、哺乳類、鳥類、両生爬虫類、陸棲貝類およびキノコの調査結果を報告する。


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