| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第59回全国大会 (2012年3月,大津) 講演要旨
ESJ59/EAFES5 Abstract


一般講演(ポスター発表) P3-HS03J (Poster presentation)

アルゼンチンアリはどこから来たのか  -遺伝子から侵入経路を考える-

水野理央, 加納翼, 大橋錬, 中城雄太 (岐阜県立加茂高等学校)

岐阜県立加茂高校から約12㎞の距離にある各務原市鵜沼には特定外来生物に指定されているアルゼンチンアリ(Linepithema humile)が生息している。その侵入経路について、遺伝子の観点から調査した。我々は日本国内に侵入したアルゼンチンアリが二次的に定着したと考え、日本各地(岐阜県、東京都、兵庫県、広島県)でアルゼンチンアリをサンプリングし、Mt.DNA CYTBの512塩基について解析した。その結果、兵庫県、広島県の個体は同一のハプロタイプに属し、由来も同じであると考えられる。また、東京都の個体は16塩基が異なり兵庫県、広島県の個体群とは別の由来を持つこともわかった。一方、岐阜県の個体は兵庫県・広島県の塩基配列と1塩基が異なり、別のハプロタイプに分類された。この1塩基について、我々は日本に侵入してから変異したと仮定し、2つの侵入経路を考えた。1つ目は兵庫県、広島県に我々が発見していない岐阜県個体と同一配列を持つ個体が存在し、その一部が岐阜県に移入されたという説。2つ目は愛知県田原市に生息しているアルゼンチンアリとの関係を考え、そこを経由して2段階的に移入されたことで変異が生じたとする説である。今後はこれらの可能性について検証していきたい。


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