| 要旨トップ | 本企画の概要 | 日本生態学会第59回全国大会 (2012年3月,大津) 講演要旨
ESJ59/EAFES5 Abstract


企画集会 T20-4 (Lecture in Symposium/Workshop)

八甲田山の森林土壌における標高別の窒素無機化と土壌呼吸について

*田中孝尚, 井上晃(東北大), 福澤加里部, 柴田英昭(北大), 黒川紘子, 中静透 (東北大)

森林生態系における窒素・炭素の物質循環を考えるうえで森林土壌の役割は重要であり、土壌を介した植物や土壌微生物の活動による緩衝効果の働きによって環境変動から生態系が維持されており、特にこの栄養源となる窒素無機化の大きさは植物の環境変動に対する防御に関わっている。しかしながら、現在の地球温暖化による急激な環境変動に対しての影響は十分に解析されておらず、脆弱な山岳地帯では早い段階でその影響が表れることが考えられる。そこで、本州最北部に位置する青森県八甲田山における森林土壌の窒素無機化と土壌呼吸に着目して標高に沿った潜在能力を把握することを目的とし、今後の温暖化を考慮した環境変動の影響を推測する。

八甲田山土壌の無機態窒素の解析試料は、6調査地(標高1400m、1200m、1000m、800m、600m、400m)のそれぞれ5ヶ所から鉱質土壌のサンプリングを行った。現地培養実験は、これらを採取地点と同じ場所で2010年7月~10月、2010年10、11月~2011年7月の期間にレジンコア法とバリードバッグ法によって行った。そして、この培養前後の土壌とイオン交換樹脂から無機態窒素をKCl抽出し、オートアナライザーによって定量を行った。また今後の温暖化による環境変化を考慮した移動培養実験は、標高1000mで採取した混合土壌を各標高の調査地点に同様に設置し、2011年7月~10月まで培養を行った。この結果、環境条件を変えて同じ土壌を低標高に移動させることにより硝酸態窒素が増加していくことが示唆された。本発表ではあわせてチャンバー法によって行った土壌呼吸の結果について報告する。


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