| 要旨トップ | ESJ59 自由集会 一覧 | 日本生態学会第59回全国大会 (2012年3月,大津) 講演要旨
ESJ59/EAFES5 Abstract


自由集会 W09 -- 3月17日 15:00-17:00 J会場

森が大気を変える-微量大気成分を支配する森林生態系

企画者: 大手信人(東京大), 松永壮(石油エネルギー技術セ)

森林は大気との物質のやりとりを通して地球環境に大きな影響力を持っている。これは、二酸化炭素や水に限った話ではない。60年代、植物が大量の揮発性有機化合物(VOC:有機物のガス)を大気へ放出していることが初めて見いだされた。こうしたVOCは、人為起源のVOCと区別するため、特にBVOC (Biogenic VOC)と呼ばれている。BVOCの放出量は、人為起源VOCの総放出量を一桁上回る。BVOCは、大気中での様々な反応を経て、大気環境(光化学スモッグの発生など)や気候変動(温暖化や寒冷化など)に大きな影響をもたらしていることが分かってきている。

その一方で、植物が、「なぜ」BVOCを放出するのか?といった研究は限られてきた。植物は生きていく中で、何らかの必要に迫られ、資源とエネルギーを使ってBVOCを生産し、大気へ放出しているのである。その支配要因は何なのか?生物である植物と、植物が暮らす森林生態系の間にある生物間相互作用が重要なカギを握っているはずである。

本自由集会では、大気成分としてのBVOCに注目した研究を紹介し、BVOCの放出について分かっていること、まだ分からないことを紹介する。特にBVOCのまだ分からない部分について、生態学的視点から新鮮なご意見をいただきたい。

司会:大手信人

それぞれの講演終了後に質疑応答、全ての講演終了後に総合討論を行います。

趣旨説明:揮発性有機物を介した森林生態系と大気の相互作用 松永壮(石油エネルギー技術セ)

熱帯樹木のイソプレン合成と放出の特性 屋宏典 (琉球大)

太陽光利用型植物工場における匂い成分計測に基づいた植物診断 高山弘太郎(愛媛大)

ハロゲン化メチル:熱帯植物が放出する地味な化合物の派手な役割 斉藤拓也(国立環境研)


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