| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第60回全国大会 (2013年3月,静岡) 講演要旨
ESJ60 Abstract


一般講演(口頭発表) H3-31 (Oral presentation)

農地の景観構造と農法がカエル類の個体数及び餌組成に与える影響

*馬場友希,大澤剛士,楠本良延,田中幸一 (農環研)

水田においてカエル類はイネ害虫を捕食する天敵であり、環境保全型農法の効果を表す指標として有効性が高い生物群である事が示されている。このカエル類の密度は農法の違いのみならず、個体の移入や餌資源の流入を介して、周辺環境からも影響を受けると考えられる。したがって、カエル類の持つ生態的機能を利活用するには、農法と景観がカエル類の密度にどのように影響するかその仕組みを理解する必要がある。

演者らは、上記の農法と周辺環境がカエル類に与える影響を明らかにするために野外調査を実施した。栃木県塩谷町において、周辺景観が異なる慣行栽培水田7筆と特別栽培水田(殺虫剤不使用)10筆を対象に、畦畔見とり法によりカエル類の個体数を記録した。周辺景観については、GISを用いて水田の縁から周囲50m、100m、200m以内の森林や構造物等の景観要素を抽出し、各要素の面積を算出した。景観要素と農法(特栽vs慣行)を説明変数、水田内のカエル密度を目的変数とする一般化線形モデルを構築し、AICに基づく総当たりのモデル選択により、最も説明力の高いモデルを特定した。

主要な種はトウキョウダルマガエル、ニホンアカガエル、ニホンアマガエルの三種であった。解析の結果、種によって密度の規定要因が異なる事が分かった;トウキョウダルマガエルの密度は周囲200m以内の森林面積、放棄水田、構造物から負の影響を受け、特栽農法から正の影響を受けていた。一方、ニホンアカガエルの密度は50m以内の森林面積から正の影響を受け、ニホンアマガエルの密度は周囲200m以内の森林面積や放棄水田面積から正の影響を受けていた。周辺環境からの影響は個体の移入、あるいは餌資源の流入に由来すると推測される。後者の可能性を検討するため、胃内容物分析により、カエル類の餌組成の空間変異も明らかにしたので、その結果も併せて報告する。


日本生態学会