| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第60回全国大会 (2013年3月,静岡) 講演要旨 ESJ60 Abstract |
一般講演(ポスター発表) P1-032 (Poster presentation)
春日山原生林は、この1200年間ほとんど人の手が入っていないため、外生菌根菌と共生するイチイガシやウラジロガシ、ツクバネガシ、モミなどの大木が多く生育している。子実体の調査により(姜2005等)、外生菌根菌の多様性が高いと考えられているが、菌根による外生菌根菌相の調査例はない。外生菌根菌の多様性を明らかにするために、春日山の広い範囲に散在するアカガシ、アラカシ、イチイガシ、ウラジロガシ、コナラ、ツクバネガシ、ツブラジイ、アカシデ、イヌシデ、ミズメ、モミ、ツガの大木(主に胸高直径80 cm以上)計45本の周辺からコアサンプラーを用いて400 mlの土壌を採取し、外生菌根を採取した。実体顕微鏡下で菌根のタイプ分けを行った。44本のサンプルの13678の菌根チップを調べたところ、1サンプルあたり平均10タイプの菌根に分けられた。また1 haの調査区からコアサンプラーを用いて100個のサンプルを採取し、それらについても菌根のタイプ分けを行った。1サンプルあたり平均5タイプの菌根が見られた。1 haの調査区のサンプルについては約1/4についてDNAの抽出及び塩基配列の解析が終了している。その結果ベニタケ科やイグチ科の菌根菌が多く検出されたが同じ調査区で子実体も見られた種数は5種にすぎず、地上部の子実体による外生菌根菌相とは大きく異なる菌根菌が地下部には多数存在していることが示唆された。今後、塩基配列の解析数を増やして、地下部の菌根による外生菌根菌相の多様性を明らかにしたい。