| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第60回全国大会 (2013年3月,静岡) 講演要旨
ESJ60 Abstract


一般講演(ポスター発表) P1-084 (Poster presentation)

クローナル植物集団におけるジェネットサイズ決定要因のRAD-Seqを用いた解析

辻本典顯,荒木希和子(京大・生態研),永野惇(京大・生態研,JST・さきがけ),工藤洋(京大・生態研)

クローナル植物は有性繁殖に加えて栄養器官からのクローナル成長を行う。親ラメットがクローナル成長によって娘ラメットを生産することで、遺伝的個体 (ジェネット) は占有面積を広げていく。そのため、ジェネットは生理的に独立した複数のラメットから構成される。したがってクローナル植物の適応度を、個々のラメットサイズのみならず、ラメット数や占有面積 (ジェネットサイズ) によっても評価する必要がある。ジェネットサイズは齢 (ジェネットが定着してからの経過年数) や生育環境にも影響されうるが、本研究では各ジェネットの遺伝的性質がジェネットサイズの決定要因となる可能性について検証した。

クローナル植物であるコンロンソウ (Cardamine leucantha) の集団に20m×20mの調査プロットを設置し、ジェネット構造を推定した。1mの格子点上に存在する394ラメットについて、14のSSRマーカーを用いてジェノタイプを特定した結果、集団内に197ジェネットが見つかった。そのうち9ラメット以上含む6つを大ジェネット、1ラメットのみで見つかった164を小ジェネットとした。ジェネットを識別した各ラメットについて、花数、葉数および草丈などの形質を調査した。さらに、クローナル成長に関わる形質 (娘ラメットの生産量・適応度など)を調べるために、これらのラメットを外的条件を揃えた共有圃場に移植した。また、各ジェネットの遺伝的性質をより詳細に把握するため、RAD-Seq解析を行った。今回は大小のジェネットに属するラメット間で、野外におけるラメットの形質を比較した結果、およびRAD-Seqの結果について報告する。


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