| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第60回全国大会 (2013年3月,静岡) 講演要旨
ESJ60 Abstract


一般講演(ポスター発表) P1-173 (Poster presentation)

カワトンボの種間相互作用と繁殖形質置換

*奥山永(京大・生態学研究センター),椿宜高(京大・生態学研究センター)

近年、種特異的な生理的反応の違いが、近縁種の生息地の好みや分割に強く影響することが示唆されてきている。特に、外温生物においては、自身の活動性や適応度にまで影響を及ぼす体温の調節を太陽光によって行うため、生息地の日照条件へ対する適応の違いは、非常に重要な要因と考えられる。本研究で用いた近縁なトンボ目の2種、Mnais costalisM. pruinosaは、広く日本に生息し、主に北海道から関東北部にかけてM. costalisが、関東南部、近畿・四国太平洋側にかけてM. pruinosaが、単独で生息し、両種はまた、中部から九州にかけて共存する。特に、中部・近畿における共存域では、単独域において見られるオスの翅色多型が喪失し、M. costalisは橙色翅型のみに、M. pruinosaは透明翅型のみになる。そして、共存域において彼らは、日照条件の好みの違いによって、 小スケールの生息地分割を示す。本研究では、彼らの日照条件と関連した生息地分割が生じる原因に関して、以下の3つの仮説の検証を行った:生息地分割は、①2種の元来の日照条件への好みの違いの結果生じている、②現在の日照条件に関する競争的排除の結果生じている、③過去の競争的(生殖的)排除の結果生じた形質置換の結果生じている。そのために彼らの生息地を5つのタイプに分類し、その場所の日照条件と、彼らの体サイズ形質を測定し、比較した。

結果として、仮説③のみ棄却することができなかった。そのため、Mnais属における、日照条件と関連した生息地分割は、過去の競争的(生殖的)排除の結果生じた形質置換の結果生じている可能性が高いことが示された。そして、本研究では、この結果に関して、この種に見られる翅色と体サイズの形質置換が、どのように影響しているのかに関しても議論する。


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