| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第60回全国大会 (2013年3月,静岡) 講演要旨
ESJ60 Abstract


一般講演(ポスター発表) P1-207 (Poster presentation)

渓流域におけるハリガネムシ類の種多様性と成虫出現の季節性

*山本拓弥,渡辺勝敏(京大・院理),久保田仁志(栃木水試),佐藤拓哉(京大・白眉センター)

生態系をまたいで起こる資源補償(subsidy)の時間的パターンは、受け手の生態系の生物群集や生態系プロセスの動態において重要であると予測されている。ハリガネムシ類(類線形動物門)は宿主である陸生昆虫を行動操作することによって陸上生態系から河川生態系への大きな資源補償を駆動し、河川の生物群集・生態系機能に影響を及ぼす。その一方で、ハリガネムシ類の種構成が河川への資源補償に与える影響は分かっておらず、そもそも日本の山間地域でのハリガネムシ類の種構成の研究もほとんどない。また、資源補償の時間的パターンに関する理論的研究は多くあるが、その実証的研究は少ない。そこで本研究は、ハリガネムシ類の種構成と資源補償の季節性を明らかにすることを目的とした。栃木県の2流域4河川で、2010年7月から11月にかけて、2種類のトラップ(水中および水盤トラップ)を用いてハリガネムシ類の季節的サンプリングを行い、DNA塩基配列を用いた種識別に基づき。サイト間で出現種や成虫出現の季節性を比較した。種識別された498個体のうち、ハリガネムシ類は6種、492個体が認められ、線形動物糸片虫目(Mermithida)は4種、6個体が見出された。各サイト間でハリガネムシ類の種構成に有意な差は認められなかった。一方、水中トラップでは種構成と性比に顕著な採取バイアスが認められた。ハリガネムシ類の成虫の出現パターンは一方の流域ではパルス的であったが、もう一方ではパルスが不明瞭であった。ハリガネムシ類の成虫出現の季節性についてはトラップ間あるいは種間で有意な差はなかった。近隣の流域間で種構成に違いがないにも関わらず、出現パターンに差異が生じるプロセスを解明することが今後の課題である。


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