| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第60回全国大会 (2013年3月,静岡) 講演要旨
ESJ60 Abstract


一般講演(ポスター発表) P1-212 (Poster presentation)

人工林によって断片化された広葉樹林の鳥類多様性 ~ランドスケープ構造と液果生産量の効果~

*原澤翔太(京大院・農),正木隆(森林総研),滝久智(森林総研),永光輝義(森林総研),石金卓也(農大),村尾未奈(農大院),前田孝介(農大),井鷺裕司(京大院・農)

森林の断片化が鳥類に与える影響については、主に農地化によって分断化された熱帯林などで盛んに研究されてきた。一方日本においては、天然林が針葉樹人工林によって分断化されている点に特徴がある。しかし、このような森林景観の改変に対する鳥類の応答反応はほとんど明らかにされていない。本研究では、針葉樹人工林の卓越する地域に残存する天然林において、鳥類の生息地選択に係わる要因を解明し、鳥類多様性を維持する上で有効な生息地保全方法を検討する。そこで、森林の局所的な要因(林分構造及び従来の研究では着目されてこなかった餌資源としての液果生産量)及び巨視的な森林景観構造(一定範囲内の天然林率や林縁長など)を評価し、それらが鳥類多様性に与える影響を明らかにした。

調査は茨城県北茨城市及び高萩市で行い、14か所の広葉樹林に観測点を設置して5~12月の毎月、ポイントセンサス法により出現鳥類を記録するとともに、液果樹木の結実量をカウントした。また観測点を中心に半径20~30mの範囲で毎木調査を行い、各プロットの胸高断面積合計やサイズ分布のパラメータを算出し、林分構造を表す変数とした。景観構造についてはGIS上で各観測点を中心に10~500haのバッファを発生させ、各バッファ内の広葉樹林率や林縁長を算出した。そして、鳥類密度(全体及び機能群別)を目的変数とし、季節による反応の違いを考慮するため、繁殖期と渡り期に分けてGLMM及びAICに基づくモデル選択によって各変数の効果を評価した。


日本生態学会