| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第60回全国大会 (2013年3月,静岡) 講演要旨
ESJ60 Abstract


一般講演(ポスター発表) P1-246 (Poster presentation)

土壌動物の金属応答性遺伝子を用いた重金属暴露評価

*柳澤幸成,Libo Hou,中森泰三,金子信博(横浜国大・院),藤井芳一(人間環境大),神谷貴文(静岡環衛研),小野恭子,保高徹生(産総研)

重金属による生態影響は暴露量とその毒性に依存する。したがって、重金属の生態リスク評価において、暴露量を定量的に把握することが重要である。重金属は土壌中において様々な存在形態をとる。全ての存在形態の重金属が毒性に寄与するのではなく、生物が利用可能である遊離イオンのみが毒性に寄与すると考えられており、その割合は土壌性質や付加された重金属の存在形態、さらにはエイジングの状態により異なる。また、生物が暴露する遊離イオン態金属量は生物の取り込み経路などの生理生態学的特性に依存すると考えられる。この生物利用可能量に着目した生態リスク評価方法が国際的に求められているが、日本の土壌特性や生物利用可能性を考慮した重金属類の生態リスク評価を行なった研究は極めて少ない。また、バイオマーカーは生物が実際に暴露した量を測る指標として有力視されているものの、土壌動物での適用例は少ない。

そこで本研究では、カドミウムを対象として、日本の一般的な自然土壌における生物利用可能性を考慮した実暴露量を把握することを目的とし、土壌動物を用いてカドミウム応答遺伝子を指標とした毒性試験でそれらの関係を明らかにする。

試験には、日本の一般的な自然土壌4種(砂質土、黒ボク土、森林褐色土、灰色低地土)とOECD人工土壌を用いて、含水量を各土壌の容水量の50%とし、段階的に異なるカドミウム濃度の汚染土壌を作成し1週間静置した。その後、試験土壌に土壌動物を投入し2日間あるいは1週間暴露した。暴露した土壌動物のRNAを抽出し、リアルタイムポリメラーゼ連鎖反応を用いてカドミウム応答遺伝子の発現量を測定した。また、個体レベルの影響も観察した。

講演では、土壌特性と暴露量、有害影響の関係性について議論する。


日本生態学会