| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第60回全国大会 (2013年3月,静岡) 講演要旨
ESJ60 Abstract


一般講演(ポスター発表) P1-391 (Poster presentation)

三宅島2000年噴火後の植生発達と植物リター分解及び土壌動物相の関係

*菅原優(筑波大・生命環境),上條隆志(筑波大・生命環境),吉田智弘(東京農工大・農),黛絵美(筑波大・生命環境),門倉由季(筑波大・生物資源),加藤和弘(東大・農)

2000年噴火の大量の火山灰と継続的な二酸化硫黄ガスの影響により、三宅島には発達段階の異なる植生がモザイク状に広がっている。植生が多様であればその種組成のみならず、それぞれの機能面にも違いがあると推測できる。特に分解系は、有機物の供給や質に応じて大きく変化する。本調査地でも、植生の発達段階に応じて分解系が異なる可能性が考えられる。そこで本研究では、噴火の被害程度により植生発達が異なる11地点を選択し、植生発達と分解系の関係を明らかにすることを目的とした。

大きく分けて次の①から④の調査を行った。①植生調査による各地点の植物種名、被度・群度の記録②リターバッグ法による分解定数の算出③ハンドソーティング法によるミミズの採取および個体数、重量の記録④ツルグレン法による中型土壌動物相の採取および個体数のカウント。

植生調査の結果から合計植被率を算出し、植生発達の尺度とした。分解定数は必ずしも合計植被率には従わなかったが、合計植被率が極端に少なかったり、草本が優占したりする地点では値が低かった。また、合計植被率が増加し樹木の割合が高くなるにつれ、分解定数も高くなる傾向がみられた。ミミズは合計植被率が低い地点で出現せず、主に合計植被率が高い地点で採取できた。ただし、地点によって個体数と総重量に大きなばらつきがみられた。中型土壌動物相の個体数は、被害程度が大きく裸地や植物がパッチ状の地点では極端に少なく、植生発達が中程度の地点で最大となり、噴火の被害をほとんど受けていない地点より個体数が多いという特徴がみられた。


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