| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第60回全国大会 (2013年3月,静岡) 講演要旨
ESJ60 Abstract


一般講演(ポスター発表) P1-400 (Poster presentation)

熱帯山地林における樹木葉と根のポリフェノール濃度への地形・地質の影響

*市塚友香,北山兼弘(京大・森林生態)

樹木は、土壌窒素可給性の低下に対して、植食者からの被食を通した窒素の損失を防ぐため、組織内のポリフェノール濃度を増加させて被食防御を行うことが知られている。ポリフェノール濃度の増加は主に葉で知られているが、細根においても起こり得る。一方、ポリフェノールは土壌に加入すると、タンパク質と難分解性の複合体を形成することで窒素無機化を阻害する可能性がある。そのため、低窒素可給性の土壌に適応した植物がポリフェノールをより多く生産し、さらに土壌を低窒素可給性にするフィードバック仮説が存在する。土壌窒素可給性に対する定常因子として、地形とリン(地質)が考えられる。一般的に、谷から尾根に向かって局所的に土壌窒素可給性は低下する。一方、土壌リンは土壌窒素の無機化に関わる土壌微生物を支配していることから、リン可給性の低下は土壌窒素可給性の低下につながる可能性がある。また、リン可給性の低下は、被食を通したリンの損失を防ぐために、直接的に組織内のポリフェノール濃度増加につながる可能性もある。以上のことから、リン可給性と地形は、樹木の葉と細根のポリフェノール濃度に対して相互作用する、と考えられる。この仮説を検証するため、ボルネオ島のキナバル山の山地林(1800m)において、リン可給性の異なる3地質と2地形のマトリックス状の6サイトにおいて、樹木の葉リターと細根のポリフェノール濃度を調べた。葉については、各サイトにリタートラップを置き、5反復を得た。細根については、各サイト当たり25本のコアー(5cm深)を採取し、5本を1つにまとめ、5反復を得た。二元配置分散分析の結果、葉リターと細根中の総フェノール濃度はそれぞれ地形と地質の交互作用を受けることが示された。このことは、リン可給性が植物中ポリフェノール濃度を変化させることで、植物土壌間フィードバックに影響を与える可能性があることを示すと考えられる。


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