| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第60回全国大会 (2013年3月,静岡) 講演要旨
ESJ60 Abstract


一般講演(ポスター発表) P2-205 (Poster presentation)

メダカ野生集団における性的二型の緯度間変異をもたらす遺伝的基盤

*川尻舞子,吉田恒太(遺伝研・生態遺伝),藤本真悟,Daniel Frikli Mokodongan,山平寿智(琉大・熱生研),北野潤(遺伝研・生態遺伝)

性的二型、即ち雌雄間での表現型の違いは、生物界において広く見られる現象である。性的二型はしばしば近縁種間や集団間でも大きく変異しており、雌雄間でのニッチの分割や、種分化に関わる例も多い。しかし、性的二型多様化の遺伝基盤に関する知見はまだ少なく、複数の遺伝子が関わるのか、性染色体など特定の領域が重要なのかなどについては多くが不明である。メダカOryzias latipes complexはメダカ属で唯一の温帯種であり、地理的分布域が広く緯度間で形態や生活史形質に大きな変異がある。特にオスの鰭長には大きな集団間変異が存在し、低緯度集団のオスほど尻鰭、背鰭ともに長く、結果的に性的二型の程度が大きい。また、この性的二型の程度の緯度間変異は、成長過程における鰭の伸長プロセスの差異によってもたらされることが知られている。本研究では、緯度の異なる2つの野生集団(青森、沖縄)を交配し、鰭の伸長プロセスを解析し、両野生集団の全ゲノム解読結果に基づいてデザインしたカスタムSNPアッセイ系を用いて、鰭の伸長プロセスのQTLマッピングを行った。講演では、連鎖地図と表現型情報に基づく、候補遺伝子領域の特定結果について報告する。


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