| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第60回全国大会 (2013年3月,静岡) 講演要旨
ESJ60 Abstract


一般講演(ポスター発表) P2-310 (Poster presentation)

Amata属の配偶行動における視覚能力

*近藤勇介(岐大院・昆虫生態), 中秀司(鳥取大・害虫制御), 土田浩治(岐大・応生)

カノコガ(Amata fortunei)とキハダカノコ(A. germana)はともに昼行性である。カノコガは早朝に配偶行動を行い、キハダカノコは夕方に行う。これまでの研究で、両種の雌は腹部末端節から性フェロモンを分泌しており、雄はこの嗅覚刺激を頼りに探雌行動を行っていることがわかっている。また、カノコガは雌に接近した段階で、嗅覚と視覚刺激の両方を利用して配偶者認識を行っていることがわかっている(KonDo et al., 2012)。では、キハダカノコはどの程度、視覚刺激を利用して配偶者認識を行っているのであろうか?我々はキハダカノコの雄に対して風洞内で様々な視覚刺激を提示し、行動を観察した。視覚刺激には雌に似せた模型を用いた。模型はエポキシ樹脂を成型し、水性塗料で塗装し、普通紙にレーサープリンタで印刷した翅を取り付けた。塗装は黄色の面積を20 %とし、線の本数を2、3、5、7本と増やしていった場合(実験1)と線の本数を2本とし、黄色の面積を20 %、40 %、60 %、80 %と増やしていった場合(実験2)で雄の行動を比較した。これらの模型は風洞の風上側にキハダカノコの雌のフェロモン腺(溶媒: ヘキサン)とともに設置した。キハダカノコの雄は風下側に導入し、5分間の行動観察を行った。これらの結果からキハダカノコの雄が配偶行動の際に、嗅覚、視覚刺激をどのように利用しているかを考察する。また、近縁種であるカノコガと比較することでAmata属の配偶行動における視覚能力について考察する。


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