| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第60回全国大会 (2013年3月,静岡) 講演要旨
ESJ60 Abstract


一般講演(ポスター発表) P3-HS20 (Poster presentation)

オオカナダモの光合成によるpHの上昇について

藤井裕也,秋山侑佑,*谷俊介,*新井達也,*渡邊康太,*堀池弘樹,望月星哉(静岡県立静岡農業高等学校・生物部),篠田聖児(静岡県立静岡農業高等学校・教諭)

私たちは、ミドリムシなどの微生物の光合成と呼吸の研究に、BTB溶液の変色を用いてきた。その過程で、比較実験に使ったオオカナダモが、その光合成によりOHイオンを放出している証拠を得た。息を吹き込んで酸性にしたDW(脱イオン水)中でオオカナダモに光合成を行わせれば、DWは中性に変化するはずである。ところが、実際に実験してみるとBTB-DW溶液は黄色から青色に変色し、光照射により葉の周辺から変色していくのがはっきりとわかった。市販のBTBはNaOHを加えて中性に調整してあるので、粉末から精製したBTB溶液も試してみたが、やはり青色に変色した。さらに、試験管にDWを満たして密封し空気が入らない状態で実験したが、それでも青色に変色した。そこで、イネの葉及び川から採取した水草で同様の実験を行った結果、どちらも黄色のBTB-DW溶液は緑色までにしか変色せず、中性を示した。つまり、オオカナダモはその光合成により、周囲の水を塩基性に変える特有の性質を持つことがわかった。しかもこの反応は、光合成に必要な二酸化炭素がほとんど存在しない状況でも起き、大変興味深い。今後、そのしくみを解明していきたい。


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