岐阜県内の揖斐川水系粕川の支流において，イワナとアマゴの雑種ではないかと思われるイワナの斑紋異常個体を確認した．斑紋異常個体は通常のイワナと比べて，体色が全体的に白っぽく，背部に虎毛模様がある等の特徴が見られた．2012年6月24日，9月6日，9月29日の3回，同河川において，イワナ（通常個体と斑紋異常個体），アマゴの釣獲調査を行った．その結果，イワナ通常個体15匹，イワナ斑紋異常個体15個体，アマゴ11個体を採捕した．また，採集した個体の鰭の一部をDNA解析用に保存した．抽出したDNAを用いて，ミトコンドリアDNAの部分塩基配列の解析を試みた．同河川における堰堤(砂防ダム)の位置，漁協による放流の有無，DNAのデータ等をもとに，この河川におけるイワナとアマゴの交雑の要因について考察した．