| 要旨トップ | ESJ60 自由集会 一覧 | | 日本生態学会第60回全国大会 (2013年3月,静岡) 講演要旨 ESJ60 Abstract |
自由集会 W13 -- 3月5日 18:00-20:00 D会場
自然界の生物群集には、環境条件で決まる極相があるのか?それとも、もとの環境条件が同じでも最終的に全く異なる群集に到達することがあるのか?代替安定状態(Alternative Stable States; 複数の平衡点があること)の問題は、生態学の歴史と同じくらい古く、検証が難しい問題の一つとして残されてきた。理論研究はASSが発現するための様々な制約条件を明らかにしてきた。一方で、実証研究において、陸水学者は急激な群集変化(レジームシフト)を、動物学者はアリー効果を、植物学者は履歴効果を調べてきた。研究分野や対象生物群によって用いられる解析手法や専門用語は異なっているが、実は、これらの実証研究は、同じ現象(ASS)の別の側面をみてきたと考えられる。本集会では、まず、ASSをめぐる概念の対応関係を整理する。そのうえで、ASSのメカニズムと発現条件に関する最新の理論・実証研究について話題提供する。本集会を通じて、(1)ASSが自然界において一般的な現象であること、(2)侵入生物問題から生物防除まで様々な応用的局面においてASSの理解が強く求められていることを確認する機会としたい。生態系改変者や系外資源などの新たな概念を取り込んでより一層広がりを見せるASS研究の将来を見据え、研究領域と対象生物群を超えた一般的な枠組みを模索すべく活発な意見交換を行いたい。
コメンテーター:富松裕(東北大・生命科学)、(予定)細将貴(オランダ生物多様性センター)
食虫植物の葉に生息する原生動物の群集集合
淡水生態系の代替安定状態:しくみの理解と生態系の回復に向けて
カワウ営巣後の森林:養分供給と環境改変がもたらす森林生態系のレジームシフト
生態系管理における代替安定状態:これまでにわかったこととこれから知りたいこと