| 要旨トップ | ESJ60 自由集会 一覧 | | 日本生態学会第60回全国大会 (2013年3月,静岡) 講演要旨 ESJ60 Abstract |
自由集会 W24 -- 3月6日 17:00-19:00 J会場
「モデル」という数学の言葉も生態学会でごく普通に使われるようになりました。
ところで、モデルといっても一般化線形モデル(GLM)を用いた場合、荒っぽく言うとデータの真ん中に線を引くだけです。貴君はそれで満足していますか?
労して得たデータは最大限に活用したい。野外調査に伴う間違いや観測誤差を、単なる正規分布で表していいはずがない。自分で思いついた仮説や新発見をデータで立証したい。管理などに提言できるくらいの予測力を持つモデルを作りたい。こうした願いは、GLMで叶えられているのでしょうか。
最近の統計手法の発展により、自由な発想やアイデアを自然体でモデル化して、データで定量的に検証する時代に入っています。時系列データなら、生態学的プロセスと観測作業をそれぞれモデル化する状態空間モデルが基本的な道具で、アイデアによってはシミュレーションで表現したモデルを実データで検証できたりします。
根本にあるのは、生き物の生きるサマや自分たちの野外調査というプロセスを、できる限り自然に表現したいという素朴な欲求です。この自由集会では、そんな試みを紹介し、自然体で行うモデリングの普及を図ります(以下の発表の大半は複数の共同研究者との成果に基づくものですが、本集会では、個人的意見も自由に述べられるよう、単名での発表にしてあります)。
司会進行及び補足説明 島谷健一郎(統数研)
自然体でやるモデリング
観察モデルを野外調査の実態に近づけたい:長期モニタリングデータからの群集動態パラメータ推定
野外で収集した間欠的なデータをもれなく活用したい:カワウの繁殖期間の同調度合いの推定
管理に貢献するモデリングをやりたい:個体数が大きく年変動するブルーギルの個体群動態
フィールドでの直感をモデリングしたい:繁殖時期の同調性を生み出す個体間相互作用