| 要旨トップ | ESJ60 自由集会 一覧 | | 日本生態学会第60回全国大会 (2013年3月,静岡) 講演要旨 ESJ60 Abstract |
自由集会 W25 -- 3月6日 17:00-19:00 K会場
分子生物学的手法の発展とその生態学分野への応用は、現象の深い理解に大きく貢献している。さらに、その知見は、統計学や集団遺伝学、モデリングなどの数理的手法を用いた思考によって、より一般化され対象種やスケールを超えた応用が可能になってきた。例えば、植物の開花に関する遺伝子制御ネットワークが明らかにされ、この制御機構を数理モデル化することで、あらゆる環境条件に対して開花タイミングが予測可能になるとともに、種を超えて共通する開花機構が明らかにされつつある。次世代シーケンサーを用いたメタゲム解析により、尨大な地下群集と植物の共生ネットワークが明らかにされつつあり、その群集構造のモデル化は森林の多様性維持機構を動的な観点から考察することを可能にする。本来、小さな時空間スケールで現象をとらえる分子生物学的手法は、数理的手法を通して生態学に応用される事で、広大な時空間スケールでの生態学的思考を促進する。
本集会では、植物生態学においてこれらの技法がどのように生態学の理解に貢献してきたのかをレビューし、更なる分野間、研究者間の融合と深い理解をもたらしたい。地球規模の環境変動に対する生態系の応答を理解するには、生態学のあらゆる分野の相互理解、協同が不可欠であり、その一端を担えるものになればなお一層よいと考えている。
コメンテータ: 井鷺裕司 (京大・農)
植物-土壌微生物相互作用による群集多様性維持機構:局所的-大域的群集パターン形成
ゲノムの時空間変異から迫るシロイヌナズナ近縁種の生態進化
栽培オオムギにおける春化要求性の自然変異:作物遺伝資源を使った数理モデリング研究の可能性
開花遺伝子を軸に植物システムの適応を考える