| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第61回全国大会 (2014年3月、広島) 講演要旨
ESJ61 Abstract


一般講演(口頭発表) B1-05 (Oral presentation)

状態空間モデルを用いたサバ資源の休漁管理効果の検証

*市野川 桃子, 岡村 寛, 渡邊 千夏子, 川端 淳, 大関 芳沖 (中央水産研究所)

一般に、漁獲に費やす努力量(操業日数等)を制限する努力量管理は、その評価が難しい。それは、管理の導入自体や管理の結果として変化する資源量によって、漁業者の時空間的な努力量配分が変化するためである。本研究では、マサバまき網漁業に対する漁業者の時間的な努力量配分と日々の漁獲量を、時間的な自己相関構造を考慮した一般状態空間モデルを用いて記述し、管理の導入による直接的・間接的な効果を検出した。さらに、一般状態空間モデルで推定されたパラメータを用いて、年間の漁獲量を確率的に発生させ、管理があった場合・なかった場合の個体群動態を比較し、努力量管理の効果を定量評価した。

結果として、太平洋のマサバまき網漁業で2004年から2008年にのべ131日実施された臨時休漁による管理は、親魚資源量を5年間で約30-40%(中央値)増加させたことが推定された。特に、一般状態空間モデルを本資源の漁獲量・努力量データにあてはめた結果、時間的な自己相関構造と、資源量に対する努力量の正の有意な関係があった。それぞれの要素を考慮しない場合の個体群動態モデルは、管理効果を過小または過大に見積もったことから、それらの要素の管理評価における重要性が示唆された。


日本生態学会