| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第61回全国大会 (2014年3月、広島) 講演要旨
ESJ61 Abstract


一般講演(口頭発表) E1-10 (Oral presentation)

タイ北東部に生息するインドヒオドシコウモリKerivoula pictaの生態と社会

*船越公威(鹿児島国際大・生物),福井大(和歌山大・地域創造),山本輝正(土岐紅稜高),水野昌彦,大沢夕志,大沢啓子,峰下耕,吉倉智子,辻明子,三笠暁子,松村澄子(コウモリの会),佐藤顕義(アルマス)

インドヒオドシコウモリKerivoula pictaは、インド南部から東南アジアに広く分布し、乾燥した森林や雑木林ばかりでなく、人為的に撹乱を受けている農村地帯まで生息している(Brosset, 1962; Medway, 1978; Francis, 2008).また、枯葉やバナナの葉の裏をねぐら場所に利用しペアで見つかることもあるが、不明な点が多い。そこで、タイ北東部のKhon Kaenの農村地域で2005~2012年に1回/年の生態調査を行った.捕獲した個体は、性・年齢査定と外部計測を行い、標識用バンドを装着して放獣した.また、2009年2月と12月、2011年11月に発信器を装着(12ペア)して、夜間の行動とねぐら場所の利用を追跡した。その結果、ねぐら場所は主にバナナの枯葉であるが、時にはサトウキビや広葉樹の葉も利用されていた。1~4日毎にねぐら場所を変え、ねぐら場所の移動は雄で最大平均237m、雌で174mであった。家族(雌雄と子の3頭で構成されるコロニー)は乾季後半から雨季の2月、6月、9月及び10月でみられるが、雌雄のペアが50~60%占める乾季中の11月や12月には家族が形成されていなかった。調査期間中はペアが維持され、採餌域を保持していた。最大飛翔距離は雄で平均355m、雌で339mであった。採餌行動圏は雄で平均6.1ha、雌で5.6haであった。糞分析から、本種は小型の造網性クモを主食にしていた。この食性幅の狭さは、採餌域を保持することと密接に関係していることが示唆された。経年のペアの持続性は雄よりも雌の方が強かった。再捕獲による最大寿命は雌で5年、雄で4年であった。


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