| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第61回全国大会 (2014年3月、広島) 講演要旨
ESJ61 Abstract


一般講演(ポスター発表) PA1-127 (Poster presentation)

送粉者相の異なる島嶼間の送粉ネットワークの比較

*平岩将良, 丑丸敦史(神戸大学・人間発達環境)

海洋島の生態系は、大陸や大陸島と比較して送粉者の多様性が低いことが知られている。海洋島では、低い送粉者の多様性によって、送粉者のニッチ拡大が引き起こされると考えられている。また、個々の送粉者のニッチ拡大は島の植物―送粉者の共生ネットワークの構造も変化させると予測されている。しかし、海洋島の送粉者種のニッチ拡大とそのネットワーク構造への影響については十分に調査されていない。そこで、本州と伊豆諸島で送粉ネットワークを比較し、送粉者のニッチ拡大とそれに伴うネットワーク構造の変化が起きているのか調査を行った。本研究では特に、(1)島の送粉者はより多様な植物に訪花するのか?(2)どのような送粉者でニッチ拡大がみられるのか?(3)島の送粉者のニッチ拡大は植物―送粉者のネットワーク構造パラメーターを変化させるのか?の3つの問いを設定し、島の送粉生態系におけるニッチ拡大について検証を行った。

本研究では本州2地点(茨城県ひたちなか市、千葉県館山市)と海洋島4地点(伊豆大島、新島、神津島、八丈島)における海浜植生の開花植物に訪花した昆虫を調査した。この時、訪花昆虫の体サイズ・口吻長、開花植物の花形態(花筒長)を計測した。本州と島の植物・送粉者相を比較すると、島では送粉者相の多様性は低かったが、開花植物の多様性には違いは少なかった。これらの訪花データに基づき、各調査地において量的な送粉共生ネットワークを作成し、ネットワーク構造の解析を行うことで、上述した3つの問いについて検証を行った。


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