| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第61回全国大会 (2014年3月、広島) 講演要旨
ESJ61 Abstract


一般講演(ポスター発表) PA2-005 (Poster presentation)

深見池に棲む動物プランクトンの深度選択と形態変化の関係

*小田切 慧, 永野 真理子, 吉田 丈人(東大・総合文化)

生物は、環境の変化に応答して、表現型を変化させる表現型可塑性によって、さまざまな環境に適応している。湖沼の代表的なプランクトンであるミジンコは、複数の異なる捕食者に反応して、さまざまな形質を可塑的に変化させる。ミジンコの誘導防衛には、尾刺などの形態変化による防衛のほかに、行動を変化させる防衛も存在する。視覚捕食者である魚類からの捕食を回避するために、昼間は暗い深い水深に潜り、夜間は浅い水深に上がってくる日周鉛直移動は、その代表例である。

本研究では、形態変化による防衛と深度選択による防衛を、ミジンコがどのように組み合わせて生息地の環境に適応しているか知るために、フサカ幼虫と魚類の2種類の捕食者が住む長野県深見池において、野外調査を実施した。成長段階間、個体間の2視点から形態変化と深度選択の特性を比較し、形態による防衛と行動による防衛の関係を考察した。

その結果、ミジンコは体長が大きくなるほど尾刺が短くなるという傾向があるとともに、形態防衛と行動防衛の間に関係が見られた。体長が小さく尾刺が長いミジンコは、昼夜とも水深の浅い地点にとどまっており、体長が大きく尾刺が短いミジンコは日周鉛直移動を行っていた。すなわち、若齢のミジンコは形態による防衛をし、老齢のミジンコは行動による防衛をする傾向があり、成長段階ごとに防衛形質の使い分けを行っていた。次に、同じ成長段階での個体間の差異を検討した。結果、形態と行動の両方の防衛を大きく発現している個体と、両方をあまり発現していない個体が存在し、防衛を重視するか否かの個体間変異があることがわかった。これらの結果から、成長段階間では形態防衛と行動防衛の間にトレードオフが存在し、個体間で見ると形態の防衛をしている個体は行動の防衛も高いということが示唆された。


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