| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第61回全国大会 (2014年3月、広島) 講演要旨
ESJ61 Abstract


一般講演(ポスター発表) PA2-022 (Poster presentation)

対捕食者形質の反応基準解析 : フナ類の体高に着目して

児玉紗希江(水研セ/放送大)*, 箱山洋(水研セ/海洋大), 松本忠夫(放送大)

進化には集団中の変異が必要であり、表現型の変異は遺伝・環境に影響を受けて決定される。同じ遺伝子型でも異なる環境では表現型が異なることがあり、形質の変異や進化を考えるうえで重要な問題である。このような形質に対する遺伝と環境の相互作用(反応基準)は、実験的に分析できる。

体高は魚類における対捕食者戦略の一つであり、体高が高いと捕食者の口サイズとの関係で捕食されにくくなる。体高には表現型可塑性が知られており、捕食者のパイクの存在で被捕食者のヨーロッパブナの体高は高くなる(Bronmark et.al, 1992)。しかし、Bronmarkらの研究は遺伝的要因をコントロールしていなかった。そこで、本研究ではクローン生殖を行なうフナ類(Carassius auratus sp.)の体高に着目し、その変異および表現型可塑性について、野外調査および室内実験を行った。(1) 野外調査: 全国13カ所の調査地の三倍体のフナ類の体高–体長の比と緯度、標高との関係を調べた。重回帰分析の結果、体高-体長比は緯度と標高で説明されること、すなわち、寒い地域ほどフナの体高が低いことを明らかにした。この結果は、寒い地域ではナマズの生息密度が低いことで説明されるかもしれない。(2) 室内実験: クローンのフナを用いて、捕食者の存在に対する体高の可塑性を反応規準解析から調べた。生息地の異なるクローン系統に産卵をさせ、遺伝的に同一な姉妹からなる6ストックを作出し、捕食者のいる水槽といない水槽とに分け半年間飼育した(24個体/系統/処理)。二元配置の分散分析の結果、捕食者・系統・交互作用のいずれにも有意差があった。これらの結果は、捕食者の存在下での体高が可塑的に変化すること、系統的な体高変異があることを示しており、体高が遺伝と環境の相互作用を受けて決定されていることが明らかになった。


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