| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第61回全国大会 (2014年3月、広島) 講演要旨
ESJ61 Abstract


一般講演(ポスター発表) PA2-144 (Poster presentation)

霧ケ峰高原車山の階状土地形に植生遷移が与える影響

*宮本隆志(信大院・農),大窪久美子,大石善隆(信大・農),尾関雅章,浜田崇(長野県環保研)

階状土とは植被斜面の前面と礫等の露出した水平面の上面が階段状に連なる地形である。周氷河環境下で、凍結融解作用等により形成されると考えられている。本研究の対象地である霧ヶ峰高原車山は、中緯度亜高山帯の半自然草原で、階状土が形成される地域としては比較的低緯度・低標高であり貴重な地形である。しかし、近年霧ヶ峰では管理放棄による半自然草原の樹林化が問題となっており、草原の外縁や丘の稜線上に存在する階状土地形は、周辺の植生遷移の影響等を受けている可能性があるが、明らかではなく、群落構造についても知られていない。そこで本研究では車山周辺の立地の異なる階状土群について群落構造や立地環境条件を把握することを目的とした。

本研究は霧ケ峰高原車山周辺に点在する階状土群において実施した。各階状土群にライントランセクトを設定し、1m×1mの調査プロットを上面と前面毎に、また周辺でも設置し、植生及び立地環境調査を実施した。解析はTWINSPANによる群落型分類及び、DCA解析による群落型と立地環境との関係性の把握を行った。

上記の結果、遷移進行程度の異なる群落型Ⅰ~Ⅳが確認された。上面のみで構成され、かつ植被率が低く先駆植物種中心の群落型Ⅰから、レンゲツツジが高い頻度で出現し、遷移が進んだ状態の群落型Ⅳまで存在した。これらの群落型はその植物相の入れ替わりから同一の遷移系列上にあると考えられた。また、DCA解析から、地形が維持されている階状土は急傾斜地の稜線上に、上面の遷移が進み崩壊しつつある場合はテーブルマウンテン外縁に存在することが示され、立地により現在の遷移進行程度に差のあることが推察された。発表では、より詳細に階状土上に成立する群落型の位置付けについて考察する。


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