| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第61回全国大会 (2014年3月、広島) 講演要旨
ESJ61 Abstract


一般講演(ポスター発表) PA3-156 (Poster presentation)

北海道における草原性鳥類の個体数変化とシマアオジの減少

玉田克巳(道総研・環境)

草原性鳥類の個体数変化を明らかにするために、1974~1986年の繁殖期にラインセンサスで鳥類相が明らかになっている地域を25ヶ所選び、2002~2003年に同様のラインセンサスを実施した。草原性鳥類17種に着目して、2時期の調査結果を確認個体数と出現率について比較した。確認個体数ではヒバリ、マキノセンニュウ、シマアオジの3種が統計的に有意に減少していた(Wilcoxonの符号順位検定、いずれの種もP<0.01)。出現率ではアカモズ、ヒバリ、マキノセンニュウ、シマアオジの4種が減少していた。確認個体数でアカモズに有意差が認められなかったことは、1974~1986年で4か所、2002~2003年の調査では1か所で確認されただけで、確認箇所数が少ないことが原因と考えられた。出現率の減少状況は、シマアオジとアカモズがそれぞれ75%と60%で、ヒバリとマキノセンニュウがそれぞれ5%と13%で、シマアオジとアカモズの減少が深刻であった。シマアオジに着目して、繰り返し探鳥会が実施されている地域の情報をまとめた。シマアオジは東米里とモエレ沼(ともに札幌市)で1993年ごろから見られなくなり、その後、消失する地域拡大し、畜大農場(帯広市)、ワッカ原生花園(北見市)、福移(札幌市)、植苗(苫小牧市)でも見られなくなった。近年では池田キモントー(池田町)で2011年から見られなくなった。北海道ではシマアオジの減少は、なお進行しているものと思われる。


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