| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第61回全国大会 (2014年3月、広島) 講演要旨
ESJ61 Abstract


一般講演(ポスター発表) PB1-HS04 (Poster presentation)

京都久美浜における10年間のアカネズミの個体群動態 ―環境変化の影響―

*坂本賢弥, *村上健太, *今井優樹, *久内康頌, 松浦宜弘, 恩地実 (甲南高等学校)

京都府京丹後市久美浜の海岸に接したアカマツが優占する雑木林で2004年から2013年の10年間、7月中旬に3夜連続で小型哺乳類の標識採捕法調査を行った。調査面積は30×200mで、10m間隔の方形区つくり、その中心にシャーマン型生け捕り罠を仕掛けた(合計60個)。捕獲された小哺乳類は、アカネズミが、99頭126回、ハツカネズミが1頭1回、ジネズミが3頭3回であった。アカネズミの個体数は10年間で0頭から19頭(25回)の間で変化した。個体数の変動および体重の変化の要因を重回帰分析で求めた。月間降水量など検討した気候変数32変数を検討した結果、個体数の変化では1月の降雪量および3月の平均気温と強い相関があった。1月に降雪量が多いと夏の個体数は減少したが、3月の平均気温が高いと増加した。また、体重では2月の平均気温との相関が高く、平均気温が高いほど体重は増加した。結果として、冬が長くて厳しい年の夏のアカネズミの個体数は減少することが分かった。この原因については餌資源の減少、子供の発育不足が考えられる。この結果より、2,014年の夏のアカネズミの個体数の予測が可能になった。


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