| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第61回全国大会 (2014年3月、広島) 講演要旨
ESJ61 Abstract


一般講演(ポスター発表) PB1-HS34 (Poster presentation)

2004年から2013年の観察結果よりみる久美浜湾の水塊特性 ―京都府最大のラグーンの閉鎖性がもたらす環境特性―

*吉田卓真, *前田慎治, *小野颯真, *布施正篤, 松浦宜弘, 山内守明 (甲南高等学校)

久見浜湾は京都府と兵庫県北部の県境に位置し、砂州によって日本海と隔てられている。湾と日本海は、水深2〜3mの細い水路でつながっており、主要河川3本から淡水が流れ込んでいる。このような状況から、地元では河川水の流入により、湾内の汽水化が年々進行していると見られている。そこで、本研究では夏季10年間にわたって水質調査を行ったデータを用いて、内湾と沿岸の水塊の組成にどのような違いがあるか、これらの組成の変化に影響を及ぼす気候要因が何であるのか、また、汽水化の進行についても検討した。

調査方法は、2004年から2013年までの7月中旬に、久美浜湾内で4地点、沿岸部で2地点の計6地点で、多項目水質計を用い、水温などを計測した。その結果、内湾と沿岸では、水塊の組成が大きく異なることが明らかとなった。また、水塊の組成に関わる気候要因を決定したところ、内湾では、降水量が重要な要因であることが明らかとなり、降水量が増加すると、躍層を形成することが示唆された。このように内湾では、降水量によって大きく組成を変化させることが明らかとなった。また、表層は汽水であるが、深層は海水なので、汽水化は進行していないことが示唆された。


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