| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第61回全国大会 (2014年3月、広島) 講演要旨
ESJ61 Abstract


一般講演(ポスター発表) PB1-HS37 (Poster presentation)

日高地方におけるタンポポの分布から ~在来・外来・雑種の侵入と分布の要因を探る~

*中筋彩見, 山本実永, 塩崎俊介, 土屋知也, 松本悠, 寺井美樹, *友渕千尋, 山下凉実, *山根菜恵子, 湯森梢, 清水理 (和歌山県立日高高等高校)

和歌山県日高地方を中心に、核および葉緑体DNA分析によるタンポポの分布調査を行った。

昨年までの研究で、在来種および外来種とともに、両者間の雑種の生育を確認した。その分布状況より、従来示されている「外来種と雑種は改変が進んだ場所に分布する」という説への疑問が生じた。

今年度は、調査エリアを広げるとともに、「水田」「森林」「建物」面積と在来種(J)タンポポ・外来種(E)タンポポ・雑種(H)タンポポとの相関を調査した。その結果、全体としては従来の指標と一致する傾向だが、水田面積における相関と雑種(H)の分布状況に従来とは異なる傾向が見られた。また、分布地図からは、最も山間部に位置する地域と市街地と同様の傾向を示し、昨年までの疑問がさらに強まった。これらを総合し、ほとんどが森林で占められている地区における外来種(E)・雑種(H)タンポポの侵入においては、環境改変の程度ではなく、改変の進む速さが関係している可能性を見いだした。

また、葉緑体DNAの解析の結果、今まで報告されていない新たなタイプの雑種の検出に成功した。研究をすすめ、遺伝子レベルの侵入パターンについて、新たな知見を得たい。


日本生態学会