| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第61回全国大会 (2014年3月、広島) 講演要旨
ESJ61 Abstract


一般講演(ポスター発表) PB2-133 (Poster presentation)

日本の山における森林限界の上昇速度とその要因について

*岩井康平(東北大学・理),中静透(東北大学・生命)

森林限界は温度変化に敏感であるといわれており、温暖化で森林限界は上昇すると考えられる。森林限界に関する多くの先行研究は上昇の要因を調べており、具体的にどのくらい上昇しているか複数の山で調べた報告は筆者らの知る限りない。日本の高山帯は世界的にも低標高で温暖な地域に分布する希な存在だが、温暖化により森林限界が上昇すると大きな影響を受ける。こうした影響を調べるため、日本の森林限界の上昇について広範囲の調査が必要である。

本研究では約30年前と最近の空中写真を用い、北海道から日本アルプスまでの29の山々について森林限界がどのように変化したかを調べた。方法としては立体視ソフトを用いて空中写真を3D化し、樹高5mの木を森林限界としてその移動距離を計測することで上昇速度を求めた。

解析の結果、過去30年間で森林限界は全体として上昇していた。発表では、森林限界の移動距離と気象データ(気温・降水・降雪・日射量)、地形データ(斜面方位・傾斜角)、その他の要因(樹種・母岩・山域)との関係について議論する。


日本生態学会