| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第61回全国大会 (2014年3月、広島) 講演要旨
ESJ61 Abstract


一般講演(ポスター発表) PB3-100 (Poster presentation)

被災地里山救済・地域性苗木生産プロジェクトの取り組み: 「タネ集めから始める森づくり」を学ぶ生態学教育

*高橋一秋(長野大・環境ツーリズム),たねぷろじぇくと班(長野大),松井順子(塩田西小),佐藤なほ子(白石第二小),高橋香織(信州大・遺伝子)

本プロジェクトは、東日本大震災の津波で破壊された海岸防災林や樹林帯の再生を目的に、将来を担う若い世代(小学生・大学生)の協働による地域性苗木の生産を実施する中で、森づくりを学ぶ生態学教育プログラムの開発・実践および森づくりの将来ビジョンの検討を行っている。本研究は、開発したプログラムが森づくりに関する知識・技術の習得や参加意欲の向上、さらに森づくりの将来ビジョンの作成に果たす効果を明らかにすることを目的とする。

2013年5月~11月に5つの生態学教育プログラム(「植物のタネと葉っぱにくわしくなろう!クイズ」「寸劇」「タネ拾い体験」「未来の森を描く」「芽生え観察カードゲーム」)を開発し、ワークショップ①種子の採取、②種子の蒔き出し、③芽生えの観察で実施した。教育効果はアンケート調査によって評価し、将来ビジョン作成への効果は「未来の森を描く」の絵画分析によって評価した。

小学生は「たくさん学ぶことがあった」(76.8%)、「ドングリを大切に育てたいとすごく思うようになった」(88.6%)の回答が、大学生は「地域性苗木の生産の知識・技術を身につけることができた」(45.0%)、「活動への興味・関心は広まった」(55.0%)、「被災地の復興に貢献したいと思う気持ちが非常に高まった」(45.0%)の回答が多かった。小学生・大学生ともに、「未来の森を描く」で描いた絵は動物(31.2%)、森・木(25.9%)、植物(10.3%)が多く、種多様性が高い森林づくりを想像していた。また木の滑り台やブランコなどの「遊具」(3.5%)や「ツリーハウス」(2.5%)で遊ぶ「人物」(7.1%)を描く例が多くみられた。


日本生態学会