| 要旨トップ | 本企画の概要 | | 日本生態学会第61回全国大会 (2014年3月、広島) 講演要旨 ESJ61 Abstract |
シンポジウム S06-4 (Lecture in Symposium/Workshop)
森林景観の変化は森林を主な生息環境とする哺乳類の生息に大きな影響を及ぼす。特に、農地等による森林の分断化は、生息地面積の減少や個体の交流の低下をもたらすことから、その生息に負の影響を与えることが示唆されている。一方で、日本の多くの森林景観では、主に広葉樹からなる森林が針葉樹からなる人工林によって断片化され、両者が複雑に入り組んだ構造となっている。このような人工林による広葉樹林の断片化は、多くの哺乳類各種の生息に対して何らかの影響を与えると示唆されるが、その実態は不明な部分が多い。また、こういった景観スケールの違いは、そこに生息する哺乳類が持つ生態系機能にも影響すると考えられる。そこで、本発表では実際に茨城県北部でおこなった、周囲の広葉樹林率の異なる、針葉樹林人工林に囲まれた複数の広葉樹林における、哺乳類各種の生息状況の違いを調査した結果を報告するとともに、先行研究から森林の景観構造の違いが中・大型哺乳類の食性・行動といった生態や、種子散布者としての生態系機能に及ぼす影響について検討する。