| 要旨トップ | 本企画の概要 | 日本生態学会第61回全国大会 (2014年3月、広島) 講演要旨
ESJ61 Abstract


企画集会 T16-5 (Lecture in Symposium/Workshop)

ネットワークを統御する~国際自然保護規範を対象とした重層的環境ガバナンスの比較研究

田中俊徳(東大・新領域)

本講演は、企画集会のテーマである「ユネスコエコパーク:持続可能社会を実現するための実効性のある制度を目指して」を念頭に置き、ユネスコエコパークが実効性の高い制度として発展するために必要な処方箋について、他制度との比較研究から論じるものである。ユネスコエコパークが依拠するユネスコMAB計画と同様のサイトベースの国際自然保護規範として、世界遺産条約、ラムサール条約、世界ジオパークネットワークを参照し、これらが、どのような枠組みとプロセスで実施(implementation)されているか、とりわけ、国内レベルのプラットフォームがどのような形で管理運営されているかについて、オリジナルのデータを示し、論じる。それぞれのプラットフォームとして、世界遺産条約からは、「世界文化遺産」地域連携会議、ラムサール条約からは、ラムサール条約登録湿地関係市町村会議、ユネスコMAB計画からは、ユネスコエコパークネットワーク、世界ジオパークネットワークからは、日本ジオパークネットワークを取り上げ、各事例の事務局体制、入会制度、会費制度(運営負担金)、実施事業などを比較分析する。とりわけ、1989年から24年に渡り活動しているラムサール条約登録湿地関係市町村会議、2009年に発足し、活発な活動で知られる日本ジオパークネットワークについて詳細に論じ、分析から、ユネスコエコパークネットワークが構築すべき体制を提言する。ユネスコエコパークがより実効性の高い制度として発展するために、1.自治体に主体性をもたせること、2.ユネスコエコパークネットワークの事務局体制を強化すること、3.実施事業を充実させること、4.1~3の実現のために、入会制度と会費制度を検討すること、を提言する。


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