| 要旨トップ | ESJ61 自由集会 一覧 | 日本生態学会第61回全国大会 (2014年3月、広島) 講演要旨
ESJ61 Abstract


自由集会 W17 -- 3月14日 18:00-20:00 A会場

不完全な発見を考慮した分布・個体数推定:階層的モデリングの基礎と応用

企画者: 深谷肇一(統数研), 山浦悠一(北大・農)

生物の数や分布(在・不在)を正確に把握することは難しい。野外生物調査において特に頻繁に生じうる問題は、本当はいた個体を見落としてしまう発見に関する誤りである。このような観測誤差がある場合、データにもとづく分布や個体数の推定は常に過小推定となるばかりか、分布確率や個体数と環境条件の関係性も偏って推定されてしまうことが知られている。誤差を含む野外データから分布・個体数を「正しく」推定するためには、個体の発見過程を考慮した調査デザインと統計手法が必要である。

本集会は分布および個体数の統計的推測をテーマに、特に分布推定のためのOccupancy modelと個体数推定のためのN-mixture modelについて紹介する。これらは生物の在・不在データや標識されていない個体のカウントデータから個体の発見率を推定し、未発見の個体を考慮して分布・個体数推定を行う枠組みである。演者は発見の誤りの問題を回避するために必要な調査デザインとデータ解析の基本的なアイデアについて解説し、実際の研究事例を紹介する。

なお、テーマとなる枠組みは一般化線形混合モデル(GLMM)の1種とみなすことができるため、参加者は予めこれらについての基本的な知識があると当日の理解が促進されます。

[W17-1] 発見過程と統計モデル、調査デザイン  深谷肇一(統数研)・山浦悠一(北大)

[W17-2] 鳥屋が発見率を考慮する:勇払原野における鳥類の個体数変遷の推定  先崎理之(北大)

[W17-3] 市民データ生態学:調査努力量の地理的偏りを考慮した鳥類の広域分布推定  比嘉基紀(高知大)

[W17-4] 発見率を考慮したパス解析:外来種の存在するため池での連結性と捕食者の効果を探る  長田穣・宮下直(東大)


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