| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第62回全国大会 (2015年3月、鹿児島) 講演要旨
ESJ62 Abstract


一般講演(口頭発表) A1-22 (Oral presentation)

那須野が原における止水性トンボの出現状況

✳︎菊原紀子(五洋建設),田中裕一(五洋建設)

那須野が原は栃木県北部に位置し、那珂川と箒川に挟まれた扇状地であり、地質は砂礫質で透水性が高いことから止水域は少ない。特に、那須野が原西部は神社や公園に那須疎水を利用した池が点在するが、高度成長期の宅地造成等による沼地の消失により、止水性生物が安定的に生息できる環境は限られている。五洋建設(株)技術研究所はこの那須野ヶ原西部に位置しており、止水域の復元による生物相の回復を目的として、2006年3月に敷地内の雑木林縁辺部に水面積30m2の水辺ビオトープを造成した。小規模な水辺であるが、2014年までにクロゲンゴロウ、トウキョウダルマガエル等の水生生物の他、6科21種のトンボが確認されている。このうち、17種が止水域を好むトンボ類であり、当初の目的は満足できたものと考える。

そこで、水生生物のうちトンボ類に着目し、2014年5~7月に当社ならびに当社周辺の止水域10ヶ所を対象に調査を5回実施した。その結果、3科14種(うち10種が止水性)のトンボ類が確認され、明るく開放的な止水域と林縁に接する暗い止水域で出現種に差異が見られた。また、水辺ビオトープは林縁に接する止水域と出現種が似ている結果が得られた。

水辺ビオトープで毎年羽化・産卵が確認されているクロスジギンヤンマに着目したところ、周辺6ヶ所で出現するものの、往来のみで産卵行動は確認されなかった。調査回数は少ないが、水辺ビオトープはクロスジギンヤンマの数少ない繁殖の場となっている可能性が高い。今後も調査を行い、各止水域の多様度指数、類似度指数等の比較を行うとともに、クロスジギンヤンマを対象としたマーキング調査も実施し、行動範囲やビオトープネットワークにおける各止水域の役割等の把握する予定である。


日本生態学会