| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第62回全国大会 (2015年3月、鹿児島) 講演要旨
ESJ62 Abstract


一般講演(口頭発表) B1-22 (Oral presentation)

住民のコミュニティへの関与度や愛着が緑化意欲に与える影響

*桜井良(JSPS/横浜国立大学),小堀洋美(東京都市大学),中村雅子(東京都市大学),菊池貴大(東京都市大学)

住民が主体となったボトムアップによる自然環境の保全が、地域における自然の保全や再生を持続的かつ効果的なものにするために有効とされ、住民参加型の住環境の緑化などの取り組みが全国で行われている。しかし、多くの取り組みは、住民のコミュニティに対する意識(地区への愛着やコミュニティの結束力)と緑化活動への参加との関連性について定量的に評価されることがなく進められており、どのような地区(コミュニティレベルの強弱など)で、地域住民の緑化活動への積極的な参加が見込めるのかなど不明な点が多い。本研究では、横浜市における地域緑化推進事業のモデル地区に指定された都筑区牛久保西地区において、住民へのアンケート調査を実施し、住民のコミュニティに関する意識など4つの構成概念(1. 住民のコミュニティへの関与度、2. 地区への愛着、3. 地区の美観向上への意識、4. 地区での緑化活動への参加意欲)の関連性を共分散構造分析を用いて明らかにした。有効回答(n=398)を分析した結果、近所付き合いがある住民ほど、地区に愛着を感じており、愛着は地区の美観向上への意識を促進し、最終的に地区での緑化活動への参加意欲に影響を与えることが明らかになった。花や緑を題材にしたまちづくりや、地域の住民を巻き込んだ保全活動などを成功に導くためには、地域住民のコミュニティへの関与度や愛着など、地域特有の事情を考慮することが重要である。


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