| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第62回全国大会 (2015年3月、鹿児島) 講演要旨
ESJ62 Abstract


一般講演(ポスター発表) PA1-053 (Poster presentation)

タンポポにおける繁殖干渉-花粉干渉が結実に与える影響を個体レベルで検証する

*竹森朱音(岡山大・院・教育),内貴章世(琉球大・熱生研),金岡雅浩(名古屋大・理),西田佐知子(名古屋大・博物館),高倉耕一(滋賀県立大・環境科学)

在来のタンポポにおいて、都市部を中心に外来のタンポポへの置換が報告されている。一般的には人為的土壌の攪乱や資源を巡る競争が要因と考えられていたが、在来種と外来種の繁殖様式の違いなどから、近年、外来のタンポポからの繁殖干渉が主な要因であると明らかになってきている。これまで大阪府や滋賀県を中心とする近畿地方などで、タンポポにおける繁殖干渉に関する研究が行われている。近畿地方には主に在来のカンサイタンポポ(以下「カンサイ」)と外来のセイヨウタンポポ(以下「セイヨウ」)が生育しており、セイヨウによる置換が起こっていること、カンサイはセイヨウからの繁殖干渉を受けていることなどが明らかになっている。

岡山県にもカンサイとセイヨウが生育しているが、近畿地方とは異なり、市街地でもカンサイの集団が多く確認できる。本研究では、岡山県のカンサイ集団を用いた人工交配実験によって、カンサイがセイヨウからの繁殖干渉を受けているか検証したところ、カンサイとセイヨウの混合花粉を授粉させることで有意な結実率の低下が確認でき、岡山県のカンサイ集団も近畿地方と同様に繁殖干渉を受けていることが示唆された。さらに、人工授粉した際の花粉管を観察したところ、カンサイとセイヨウの混合花粉を授粉させた際に胚珠まで到達していた花粉管の割合の有意な低下は見られなかったが、セイヨウ花粉のみを授粉させた際には有意に低下していた。そこで、これらの結果を元に、胚珠まで花粉管が到達していた割合(花粉管の受け入れやすさ)と結実率との関係を検証した。


日本生態学会