| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第62回全国大会 (2015年3月、鹿児島) 講演要旨
ESJ62 Abstract


一般講演(ポスター発表) PA1-071 (Poster presentation)

Seasonal variation in atmospheric carbon isotope fractionation and photosynthesis of Ginkgo

*Kinoshita T(KIT Univ), Hanba Y(KIT Univ), Nishida K(KIT Univ), Kiyomizu T(KIT Univ)

街路樹の光合成によるCO2吸収効率を高めることは、CO2削減量を増加させることに繋がるため、温暖化対策の一つとして期待される。街路樹の光合成は気温や湿度など様々な環境因子に影響されるため、環境因子の季節変化に応じて変化する。また、大気のCO2濃度も植物の生理的活動に関連して季節変化し、街路樹の光合成に影響を与える。街路樹によるCO2吸収効率を高めるには、大気CO2濃度及び光合成機能の季節変化を把握する必要がある。本研究では、街路樹として国内で最もよく用いられているイチョウ(Ginkgo biloba)を対象に、その光合成機能と炭素安定同位体比(δ13C)を測定した。さらに、WS-CRDS式ガス分析装置により、大気のCO2濃度とδ13Cを連続測定した。これは、大気CO2に対する人為起源のCO2の寄与率を指定するのに有効である。これらの測定により、1 ) 夏季から落葉季(7月から10月)にかけての街路樹の光合成機能の変化、2 ) 大気中のCO2濃度及びδ13Cを調べた。光光合成曲線及びA/Ci曲線から解析したイチョウの光合成パラメータは共に、夏季から秋季にかけて小さくなる傾向を示した。一方、水利用効率(WUE)は夏季から秋季にかけて上昇する傾向が見られた。今後は、街路樹のδ13Cを指標として利用することで、WUEのより詳細な推定を試みる。また、δ13Cの連続測定より、大気CO2濃度とδ13Cにおける日、週、月単位での周期的な変化についても解析を進めていく。


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