| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第62回全国大会 (2015年3月、鹿児島) 講演要旨
ESJ62 Abstract


一般講演(ポスター発表) PA1-164 (Poster presentation)

Evaluation of flowering time and genetic background among Lotus japonicus populations in Japan using genome-wide comparisons and a niche model.

*Tomomi Wakabayashi (Kyoto Univ.), Shusei Sato (Tohoku Univ.), Stig Andersen (Aarhus Univ.), Masayoshi Kawaguchi (NBBI), Hiroaki Setoguchi (Kyoto Univ.)

種子植物において、開花のタイミングは子孫の質や量に関わる重要な要素である。開花時期制御に関わる遺伝的背景は、モデル植物において徐々に明らかになってきている。ミヤコグサは日本列島に広く分布するマメ科の植物で、同一条件下で播種して育成された場合、産地ごとに異なる開花時期を示す。全ゲノム配列が既知であり、さらにNational Bio Resource Projectによって保存される日本各地由来の野生系統が利用できる。本研究では、野生系統131系統の開花時期の多様性を調べるとともに、5系統の全ゲノム配列を決定した。その結果、産地の緯度上昇に沿って開花時期の遅延がみられた。また、早咲き10系統と遅咲き9系統の全ゲノム配列の比較から、開花時期決定に関与する可能性のある3つのSNPsが検出された。これらのSNPsが位置する遺伝子にコードされるタンパク質の構造を予測すると、2つの遺伝子において機能部位の構造が、遺伝子型間で異なる可能性が示された。さらに、全ゲノム情報がある131の野生系統において、これら3つの遺伝子の遺伝子型間で開花所要日数に有意な差がみられた。以上の結果から、広域分布をして多様な自然環境に生育するミヤコグサでは、これら3つの遺伝子の変異が開花時期の違いに貢献している可能性が示された。


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