| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第62回全国大会 (2015年3月、鹿児島) 講演要旨 ESJ62 Abstract |
一般講演(ポスター発表) PA1-170 (Poster presentation)
植食性昆虫は利用する植物に対して適応しながら多様化してきたと考えられている。代表的な植食性昆虫であるアブラムシ類も寄主植物への種特異性が非常に高く、1種のアブラムシが利用する寄主植物は特定の1種もしくは近縁な数種のみに限定される。これは、アブラムシが寄主植物を利用する際に植物の化学的、構造的防御を突破する必要があるためである。
クチナガオオアブラムシ属も同様に高い寄主特異性を示すと考えられてきた。しかし、mtDNA(COII領域、670bp)を用いて推定した系統と利用する寄主植物頻度の関係から、主に特定の種を利用しているものの、系統によってはクヌギとマツのような非常に遠縁な寄主植物種を、同じ世代にもかかわらず利用していることが明らかになった。
そこで、まずnDNA(ef-1α領域、900bp)を用いて、複数の寄主植物種を利用する系統の単系統性を確かめた。本発表では、クチナガオオアブラムシ属においてこのような寄主植物の利用が、どのように進化してきたのか、また、なぜ遠縁な植物種を利用できるのかについて、クチナガオオアブラムシ属の系統関係やアブラムシがもつ共生細菌、寄主植物の外部形態の観点から考察を行う。