| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第62回全国大会 (2015年3月、鹿児島) 講演要旨
ESJ62 Abstract


一般講演(ポスター発表) PA2-100 (Poster presentation)

スミレ属2種における生活史特性と種間相互作用

*渡部俊太郎,高倉耕一,西田隆義(滋賀県立大院環境科学)

近縁種が排他的に分布する傾向は多くの分類群で知られており、少なくともその一部は花粉干渉によって説明できることが分かっている(Takakura et al 2009; Takakura & Fujii 2009; Nishida et al 2012など)。しかし、開放花と閉鎖花を併用する植物においても、同様に排他的分布が見られることは不思議である。なぜならば、閉鎖花は一般に、不適な環境下でも自殖専用の花によって確実に種子生産を行う「繁殖保証」の為に進化してきたと考えられており、この考えに従うのであれば、閉鎖花は花粉干渉を受けないので近縁種の共存を促進すると予想されるからである。

本発表では、開放花と閉鎖花を併用するスミレ属の多年草(スミレとノジスミレ)を対象に、排他的分布がなぜ成立するのかの解明を目指した。その第一歩として、①開花フェノロジー ②種間の花粉干渉が開放花および閉鎖花の種子生産に及ぼす影響、を調査した。開放花の開花時期は2種で大きく重複する一方で、開放花の結果率はノジスミレにおいて著しく低かった。また、同種他殖(同種他個体の花粉を受粉)と混合花粉他殖(同種他個体の花粉と異種の花粉をともに受粉)の間で種子生産を比較した。その結果、スミレにおいては混合花粉他殖の際に同種他殖に比べて種子数が減少し、種子重量も低下した。その一方、ノジスミレでは、同種他殖および混合花粉他殖のどちらにおいても開放花の結実が見られなかった。これらのことからスミレの開放花はノジスミレから花粉干渉を受け、質と量の双方で繁殖成功が低下する一方で、ノジスミレでは開放花がほとんど有効に機能していない事が明らかになった。本発表ではこれらの結果に加えて開放花での繁殖成功が閉鎖花に及ぼす影響についても報告したい。


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