| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第62回全国大会 (2015年3月、鹿児島) 講演要旨 ESJ62 Abstract |
一般講演(ポスター発表) PA2-110 (Poster presentation)
乾燥地における夏の降雨は植物の水ストレスの緩和に重要であるとともに、土壌微生物の活性を大きく変える。また、夏の降雨は植物の窒素吸収にも重要な役割を果たしているが、降雨に伴う土壌窒素の動態とこれに関与する微生物との関係については不明な点が多い。本研究では、降雨によって引き起こされる微生物量と窒素動態の変化について解析を行った。調査はアメリカ、カリフォルニアの乾燥地で行った。本調査地において、クレオソートブッシュ(Larrea tridentata)、およびブリトルブッシュ(Encelia farinosa)を中心とした方形区を設け、水を与える処理区と与えない処理区を設けた。水を与える前と水を与えた後(半日後、1.5日後、3.5日後、7.5日後)の土壌中の無機態窒素現存量を調査した。また、水を与える前と後(半日後)の土壌を用いて、純窒素硝化速度、および純窒素無機化速度を調査した。土壌微生物については、リアルタイムPCR法による真菌、真正細菌、古細菌、アンモニア酸化細菌、アンモニア酸化古細菌、窒素固定細菌の定量を行った。結果として、土壌中のアンモニア態窒素現存量は、両樹種ともに水添加処理によって変化しなかったが、ブリトルブッシュの硝酸態窒素現存量は水添加処理によって増加した。また、水添加半日後の硝化速度、および無機化速度は、水添加前と比べて両樹種ともに増加した。微生物量については、クレオソートブッシュでは真正細菌、アンモニア酸化細菌、窒素固定細菌の増加、ブリトルブッシュでは、真菌、アンモニア酸化細菌、窒素固定細菌の増加が認められた。水添加に伴うこれらの微生物の変化が硝化速度や無機化速度の増加に関与していたと推察される。