| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第62回全国大会 (2015年3月、鹿児島) 講演要旨 ESJ62 Abstract |
一般講演(ポスター発表) PA2-111 (Poster presentation)
ウコギ科の落葉小高木であるタカノツメ Gamblea innovans はCdやZnを地上部に高濃度に蓄積する植物であるが、その蓄積メカニズムは不明なことが多い。このような重金属を集積する植物について植物体内部に生息する菌類によって重金属の蓄積が促進されたという報告がある。蓄積を促進する菌の中には重金属耐性をもち、シデロフォアやIAAなどの宿主植物にとって有用な物質生産能をもつものが報告されている。本研究ではタカノツメのCd、Zn蓄積にCd、Zn耐性をもつ内生菌が関与しているかを明らかにするための前段階として土壌中のCd、Zn濃度の異なる地域に自生しているタカノツメの葉の内生菌を単離、種同定を行い、Cd、Zn耐性試験を行った。
兵庫県川辺郡の多田銀山と名古屋大学構内二次林に自生するタカノツメの葉から内生菌を単離し、18S rDNAのITS領域の塩基配列から種を同定した。種を同定した内生菌のうち2株以上分離された種、多田と名大で共通して得られた種をCd2+が1.8 ppm、18 ppm、180 ppm、Zn2+が4 ppm、40 ppm、400 ppmのPDA培地上で培養した。その結果、培地中のCd2+、Zn2+濃度が増加したときの感受性は種によって異なり、高濃度のCd、Znでは伸長できない種と耐性を示す種がみられた。高濃度のCd、Znに耐性を示したのはColletotrichum属、Gibberella属であった。今後はこれらCd、Zn耐性をもつ菌に着目し、タカノツメのCd、Zn蓄積や耐性メカニズムとの関連性を調べていく。